静止
先日、海上自衛隊の方々と交流させていただける機会がありました。
みなさん流石に姿勢正しく、キビキビと動かれ、所作ふるまいの美しさに感動。
しかし幹部候補生や尉官たちと、指揮官クラスの方々との違いも興味深かった。
若い自衛官でも、ダラっとしている人はもちろんおられない。
しかし話しているとき、整列しているわけではない状況でじっと立っているときに、”揺らぎ”がある。
対して佐官以上の方々を見ていると、ピタッと静止されておられる。
それも、緊張や硬直といった印象がなく、固めているのではなく、ただ自然にそこに在られている。
すごいなぁ、と。
柔道でも”自然体”という。
重心の崩れなく、ニュートラルに立っている状態、姿勢のことですね。
また、昔の武術でも気とかの概念を用いて、静止の重要性を説いたりしてます。
単純に筋肉が身体を動かすこと考えると、完全停止から動作するのは遅いはずなんですけど、相手や状況への対応とか気が絡む武道の概念では、完全静止からこそ素早く動けると考えるようですね。
自衛官といえば現代の武士。
まして海上自衛隊は島国日本にとっては最前線。
スポーツの勝負なのではない、現実に命の危険にさらされる緊張感の中で、武の奧妙に達しておられるんだろうなぁ。
静かにして動かざるものは心の体なり。動いて物に応ずるものは心の用なり。
体は静かにして衆理を具へて霊明なり。
用は動いて天則に従ひて万事に応ず。
体用は一源なり。
是を動いてうごくことなく、静かにしてしづかなることなしといふ。
佚斎樗山『天狗芸術論』巻之三